「他の3歳の子たちは問題なく通っているのに、どうして習い事を嫌がるの?」
「始めたばかりなのに、やめさせても良いものか。。すぐに諦める子になってしまいそうで心配だなあ」
「嫌がるのに無理やり通わせるのも気が引けるし。。こんなとき、どうしたらいいの?」
子どもが習い事を嫌がる場合、親としては、やめさせるべきか否かとても迷いますよね。
また「自分でやるって言ったのだから、キリの良いところまで頑張らせたい」と思うこともあるでしょう。
このように、子どもが習い事を嫌がって、どうしたら良いのか悩んでいるママにとって参考になるのが、子どもの発達理論です。
この記事では、元保育士の筆者が、3歳児の発達理論をもとに以下の内容をお伝えします。
・3歳児が習い事を嫌がる理由とは?
・子どもが習いたいと言ったのに嫌がるのはなぜ?
・どうしても続けさせたいときの対処法
・習い事を嫌がる3歳児に一番必要なこととは?
3分ほどで読める記事ですが、この記事を読めば、子どもの発達理論から習い事をどのように位置づけたら良いのかのヒントが見つけられるはずです。
3歳の子供が習い事を嫌がる理由とは?
3歳頃から通える習い事は多く、3歳になったら何をやらせてあげようかなあと楽しみにしていた親御さんも多いのではないでしょうか。
しかし、せっかく習い事を始めたのに、わが子だけ嫌がっていると「周りの子たちは楽しそうにしているのに、うちの子は何でやりたがらないの?」と、心配になってしまうこともあると思います。
3歳児で習い事を嫌がる理由は、主に4つ考えられますので、以下に、それぞれ解説していきます。
親の希望で通わせ、子どもの興味と違ったから
自分がやってみたいと思ったことには前向きに取り組めるけれど、誰かから強要されることはやりたくない。
興味が持てないことは、楽しくない。
大人でも、一緒ですよね。
とくに3歳児は、第一次反抗期(イヤイヤ期)の真っ只中にいる子も多く、自分の主張を尊重してほしい!という思いが強く出ますから、大人から何かをさせられることを強く嫌います。
ですから、子どもは習い事で興味のないことをさせられると感じ、嫌がっているのかもしれません。
3歳の子どもは、このような理由で習い事を嫌がることが考えられます。
「〇〇が嫌なの?」と聞いても、子どもは何となく「うん」と言ってしまうこともありますので、まずはお子さんの様子をよく観察しましょう。
また、習い事の先生にも様子を聞いて、理由を探ってみましょう。
3歳の発達段階では、子どもが習い事を嫌がる姿というのは、ごく自然なことです。
親の期待を感じ取り、不安になるから
子どもは、親が自分に向ける気持ちに敏感です。
親が、子どものできないことにがっかりしたり、怒ってしまったり、頑張らせようとして無理に褒めすぎたりすると、子どもは不安になってしまうでしょう。
親としては気をつけているつもりでも、些細なことで期待を感じてしまい、不安になってしまう場合があります。
こうした傾向は、HSC: Hyper Sensitive Person(人一倍敏感な子)の気質をもつ子どもに強く見られます。
5人に1人いると言われているHSCの子どもは、感受性が豊かで人の気持ちに敏感に気づけるなどの特徴があります。
それゆえ、些細な刺激が苦痛になったり、親の気持ちを敏感に察知して些細な変化に不安になってしまったりします。
お子さんの個性を知ることが、これからの向き合い方のヒントになります。
慣れない環境に緊張するから
保育園でも、入園したばかりの頃は不安で泣く子が沢山います。
慣れない環境に緊張するのは、3歳児の姿としては当然のことです。
その上、習い事では「先生の質問に答える」「表現して見せる」など、緊張する場面が多く、気持ちの負担が大きい可能性があります。
ですから、緊張によって「もう行きたくない・・・」と思っているかもしれません。
雰囲気が、何となく嫌だから
理由という理由はないけれど「何となく嫌」。
これもよくあることです。
子どもの直感ですね。
先生との相性、教室の雰囲気、匂い、見た目、周りの子どもや親の雰囲気など、何となく「嫌だな」と感じる部分があるのかもしれません。
5人に1人いると言われている、HSC(人一倍敏感な子)の特性がある子では、こうしたことが耐え難いほどという場合もあります。
こうした理由で、習い事に行くことを嫌がる場合もあります。
生まれ持った個性なので、特性として生かしてあげましょう。
子供が習いたいと言ったのに習い事を嫌がるのはなぜ?
「子どもが『やりたい』と言ったからやらせたのに、どうして嫌がるの?」
「子どもが『やりたい』と言ったのなら、教育上、キリの良いところまで頑張らせるべき?」と悩まれる方もいるでしょう。
しかし、3歳児には先を見通して決定することも、一度言ったことをやり通すことも、まだまだ難しいです。
そんな3歳児が、自分で「やりたい」と言ったのに、習い事を嫌がる理由は以下の4つが考えられます。
- 本当はやりたいと思っていないのに、親の顔色を見て「やりたい」と言ってしまった
- やってみたら楽しくなかった
- 練習のために、家でも好きな遊びができないとは思っていなかった
- 毎週、継続して行かなければならないとは思っていなかった
以下に詳しく説明します。
親の顔色を見て「やりたい」と言ってしまった
子どもは親の顔色を見て「やりたい」と言ってしまうことがあります。
大好きなママ・パパが喜ぶことが、子どもにとっても嬉しいことだからです。
「やらないって言ったらママが悲しむだろうなあ」と感じていれば、自分の興味があるかどうかに関わらず、何となく「やりたい」と言ってしまいます。
ですから、親の顔色を見て「やりたい」と言ってしまった結果、やっても興味が持てなかったのかもしれません。
やってみたら楽しくなかった
「やってみたい!」と思って始めたものの、やってみたら楽しくなかった。。
やってみたからこそ「思ったのと違った!」と分かるのです。
たとえば大人なら、過去の経験や知識からどれがふさわしい選択かを考えることもできます。
でも、生まれて3年で、同じようにはできませんよね。
「やりたいと言ったらやらせてもらえたこと」は、子どもにとって嬉しい出来事だったと思います。
「やりたいと思ってやってみたこと」自体は価値のあることですから、結果がどうあれ、1つの経験としてプラスに受け止めてあげたいものです。
練習のために、家で好きな遊びができないとは思っていなかった
ピアノなどでは、家に帰ってからも練習する時間が必要ですよね。
週に1回行くのは良くても、家でも毎日練習しなくてはならないと分かると、だんだん習い事自体が嫌になってしまうことがあります。
しかし、親御さんの中には「始める前に『家でも練習するんだよ?』と念押ししたのに…」と思う方も多いでしょう。
ところが、3歳くらいの子どもは「やりたい!」と思ったら、それを叶えるために話半分で「できる!」「大丈夫!」と言ってしまいがちです。
自分の主張をなんとかして押し通す、知恵がついたからとも言えますね。成長している証です!
ですから、大人が前もって伝えていても、子どもからすれば「そうなるとは思っていなかった・・・」という状況がしばしば起こりうるのです。
ずっと継続して行かなければならないとは思っていなかった
習い事を始める前に、体験教室に連れて行った方も多いでしょう。
子どもが「楽しかったから、もっと行きたい!」と言えば、親は当然、毎週継続して少なくとも3年間くらいは通ってほしいなと思いますよね。
ところが、3歳児はそこまで長期的な見通しで「もっと行きたい」と言えるわけではありません。
3歳児は会話が上手になってくるので誤解してしまいがちですが、言葉と理解が必ずしも一致するとは限らないのです。
ですから、子どもはすでに興味がなくなって「また行くの?もう嫌だな」と思っているかもしれません。
どうしても習い事を続けさせたいときの対処法
ピアノなどは、早くから始めた方が「音感」を身につけやすいとも言われますし、嫌がっても、3歳からなんとか頑張ってほしいと思う場合もあるかと思います。
ここでは、どうしても続けさせたい場合の対処法を3ステップでご提案しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 子どもの不安を取り除く
- 親が楽しむ姿を見せ、その活動が楽しいものだと思えるようにする
- 慣れるまで待ってみる
以下に解説します。
子どもの不安を取り除く
まずは、様子をよく観察し、子どもが行きたがらない原因を探ってみましょう。
また、子どもにプレッシャーを掛けてしまうことがなかったかなど、親の言動も振り返ってみましょう。
不安がなくなれば、おのずと習い事に行きたいと思えるようになることがあります。
親が楽しむ姿を見せ、その活動が楽しいものだと思えるようにする
子どもは親を見て育ちます。
親が楽しんでいることは子どもも楽しめるようになる可能性が高いです。
たとえば、ピアノなどは、親がピアノを弾けなくても構いません。
簡単な曲でも、練習して弾けるようになったら楽しいものですから、そうした姿を親が見せてあげましょう。
子どもは、大好きなママ・パパが楽しそうにやっていれば「そんなに楽しいのかな?」「私もやってみたい」と思うようになるはずです。
そして、お子さんが興味を持ったときがチャンスです。
親子で一緒に楽しさを感じられれば、子どもも自然とピアノが好きになっていくでしょう。
慣れるまで待ってみる
もし、習い事を見学することができるのであれば、親子で見学させてもらい、気が向くのを気長に待ってみましょう。
新しい環境に慣れるのに時間がかかる子もいるからです。
他の子たちがやっているのを見て、楽しそうだなと感じられれば、自分のタイミングで参加できるようになっていくでしょう。
どうしても続けさせたい場合もあると思いますが、本当に今から頑張らせないといけないのかどうか、一度見直してみることも必要です。
少し先延ばしにすれば、案外すんなり行けるようになるかもしれませんよ。
発達理論が教える3歳の発達課題
「習い事をさせることで子どもの才能を伸ばしてあげたい」
「習い事を通して、努力できる子になってほしい」
「自分が苦労したから、子どもには将来困らないようにしてあげたい」
習い事をさせるのには、親としてのさまざまな思いがありますよね。
しかし、子どもが嫌がってしまったら・・・
子どもの発達理論から言えば、ここで無理にやらせてしまうと、かえって子どもの育ちにマイナスになってしまう可能性もあります。
子どもの発達理論では、3歳の子どもの育ちに最も必要なのは、身の回りのことへの興味関心をひろげ、好奇心をもち、興味のあることに自発的に取り組むことです。
この「自発的に」というのが大きなポイントです!
大人はそのための環境を用意してあげましょう。
なぜなら、子どもは、生まれたときから育つ力を持っています。
親が一方的に教え込む必要はなく、子どもにとって適切な環境を用意すれば、子どもは自分の力を存分に発揮し、成長していくのです。
こうしたなかで、将来「目標に向かって努力ができる」「主体的に行動できる」など、人として大切なことの基礎を培っていきますし、興味のあることへの才能も開花させられる可能性があります。
子どもの遊びは、一見無駄に思えるようなことも多いものです。
でも、同じことの繰り返しや、これといった価値のなさそうなことにこそ、子どもの意思と思考が詰まっており、こうした経験はとても大切なものなのです。
その習い事に子どもが自発的に取り組んでいるのであれば、そのまま存分にやらせてあげれば良いと思います。
でも、もしそうでなければ、無理してまで習い事に行かなくても、子どもの力を伸ばすことはできるような、自発的に遊べる環境は用意できます。
むしろその方が、3歳の子どもには望ましいことです。
ですから、子どもが興味関心をひろげ、「面白そう!」「またやりたい!」と自発的に遊べるような環境を用意してあげましょう。
そんなにお金をかけなくても、日常生活の中でできることは色々あります。
3歳の子供が自発的に遊ぶために
ここでは、自発的に遊べる環境として、以下に4つ提案します。
戸外で遊ぶ
公園の遊具も良いですが、可能であれば自然の多いところへも出かけてみましょう。
3歳児は「これはなんだろう?」「なんで〇〇はこうなの?」と、様々なことを知りたいと思う時期です。
自然に触れ、子どもの好奇心をのびのびと発揮させてあげたいですね。
おもちゃでじっくり遊ぶ
おもちゃでじっくり遊ぶことは、集中力を養い、認識力や身体能力の発達を促します。
することが決まっている習い事とは違い、好きなおもちゃを自分で選ぶことができ、何度でも繰り返して好きなだけ遊ぶことができるので、子どもは自発性を存分に発揮します。
おもちゃを選びは案外難しいですし、スペースもお金もかかりますが、最近では、世界の優良メーカーの知育玩具が手ごろな価格でレンタルできるサービスもあるので、おすすめです。
おもちゃのサブスクリプションサービスについては、こちらの記事で紹介しています。
家事手伝い
3歳くらいになると、服の脱ぎ着など、生活に必要な大体のことが自分の力でできるようになりますし、身の回りのことへの関心もひろがります。
子どもが興味を示したら、ぜひ家事のお手伝いを経験させてみましょう。
子どもが家族の中で主体的に生活をする、第一歩になります。
家事はママだけの仕事ではなく、子どもにとっても「自分と家族の暮らしのために必要なこと」ですよね。
何でもやってもらっていた赤ちゃんを卒業して、家事に参加することで、家族の一員として自分を誇らしく思う気持ちが育ちます。
次の記事は2歳児向けに書いていますが、子どもと料理をするときの参考になると思いますので、ぜひチェックしてみてください。
台所育児についてはこちらの記事で紹介しています。
お友だちのいる空間で遊ぶ
まだ幼稚園や保育園に通っていないのであれば、子育て支援センターなど、お友だちがいる空間に遊びに行きましょう。
習い事とは違い、自由にそれぞれの遊びを楽しむ他の子たちの姿を見て、子どもは自分の興味のあることを見つけ「面白そう!」「やってみたい!」という気持ちが湧いてきます。
また、色々な人がいることに気づき、お友だちとの関わりを学ぶ機会にもなります。
ですから、ぜひ、お友だちのいる子育て支援センターや児童館などへも遊びに行ってみましょう。
最後に/まとめ
子どもが習い事を嫌がってしまい悩んでいる場合、子どもの目線に立って理由を考えることで、解決の方向が見えてきます。
・3歳児が習い事を嫌がる理由で考えられるのは、以下の4つ。
- 慣れない環境に緊張するから
- 雰囲気などが、何となく嫌だから
- 親の希望で通わせ、子どもの興味と違ったから
- 親の期待を感じ取り、不安になるから
・子どもが「習いたい」と言ったのに、やってみたら嫌がるときの理由で考えられるのは、以下の4つ。
1 本当はやりたいと思っていないのに、親の顔色を見て「やりたい」と言ってしまった
2 やってみたら楽しくなかった
3 練習のために、家でも好きな遊びができないとは思っていなかった
4 毎週、継続して行かなければならないとは思っていなかった
・どうしても続けさせたいときの対処法を3ステップで紹介
- 子どもの不安を取り除く
- 親が楽しむ姿を見せ、その活動が楽しいものだと思えるようにする
- 慣れるまで待ってみる
・習い事を嫌がる3歳児に一番必要なこととは?
大人から一方的に教えられるより、適切な環境があることで、子どもは自らの力を伸ばしていくことができます。
子どもが自発的に、夢中になって遊べるような環境を用意してあげましょう。
- 戸外で遊ぶ
- おもちゃでじっくり遊ぶ
- 家事手伝いをする
- お友だちのいる空間で遊ぶ
お子さんの一番の味方になれるのは、ママ・パパです。
お子さんの力を伸ばす選択肢は、習い事に限らずいくらでもありますから、記事を参考に、お子さんにとって最適な対応を考えてみてくださいね。